『康太の夏休み』  03

ボケっとしてたら遅くなりました・・・



し、知らなかった・・・

海で一人で遊ぶのが、こんなにつまらなくて空しいとは・・・  (いや、それ、当たり前だから)

女子供みたいに波打ち際で砂の城作るワケにもいかないしなぁ〜。
こんな混んでる海じゃボードやるワケにもいかないし。 (つか、そもそも持ってきてねえし!)

他にやることっつったら、 一人遠泳・・・とか?  うわ、それマジで空しすぎる。

去年、勝屋や小谷と海に来た時は、ジャーマン・スープレックスとか技かけあって遊んだなぁ・・・
まさかチカさんにそんな技かけるワケにいかないしなぁ・・・  (うん。確実に死ぬね)


5分ほど波打ち際でボケーっとしていたが、あまりに悲しくなってチカさんのところに戻った。


「どうした?」

「つまんない」

「おまっ、、、あんだけ海・海騒いでヒト連れてきたくせに、言うに事欠いて 『つまんない』 !?」

「一人じゃつまんないよ〜・・・」
「知らないよ! 思い出作るんだろ? 海で存分に遊んでこい!!」
「作るのは二人の思い出だよ〜・・・ チカさんがいなきゃダメだよー・・・」
「カンベンして、ほんと。 俺水着も着替えも持ってきてないんだから・・・」
「波打ち際でカニさん見つけようよ〜〜」

「なにが 『カニさん』 だッ!!」

隣のパラソルから俺たちの遣り取りを見ていた女の子たちの失笑が聞こえてきて居た堪れなくなったのか、カニのように顔を真っ赤にしたチカさんが勢いよく立ち上がり、ずんずんと一人海に向かって歩きだした。


「ったくもう!」

「ごめん、ね・・・」
「ガキっ!」
「貝探そうね」
「女かっ!」

かなりのご立腹で、並んで歩こうと人を避けながら小走りしている俺の顔も見ずに悪態の連発だった。 (俺が悪いんだけどね・・・)

しかし・・・、いざ波打ち際に着いたら俺以上にハシャいでいた。


「水、ぬっるいなー・・・」

「波が引くときにさ、足の下の砂もスーって持ってかれるのが気持ち悪いよな」

・・・と、ニコニコである。
チカさんは長ズボンの裾を膝下まで捲り上げているだけなので深い方へは行けないし、勿論ヘンな技はかけられないけど、俺はそんなチカさんの楽しそうな顔を見てるだけで満足だった。

うーん、これぞ海辺の甘い思い出ってヤツですよ〜〜♥

───・・・ なーんてニヤけながらチカさんの傍に突っ立ってたんだけど・・・



突然、 俺は、背後から誰かに体当たりされ・・・・・・

あろうことか 前にいたチカさんを巻き込んで、 水面に倒れた。



「すみませんっ!!!」


俺と同じくらいの歳の男2人が、大声で謝りながら俺とチカさんの様子を窺った。 すぐ後でジャレあっていた弾みでぶつかってしまったらしい。 わざとじゃないんだろうし、これだけ混みあっているんだからそういう事故もあるだろう。 (そういうとこでふざけてんじゃねえよ、とも言いたいが)


「ほんとに・・・すみません。大丈夫ですか?」

多分これは、服を着たまま水中に転がっているチカさんに向けられたものだろうが。

「あの・・・」

「・・・・・・ああ、・・・大丈夫、です」
「・・・・・・・・・・・・。」

チカさんは後に肘をついて上半身を少し起こした格好で寝転がったまま呆然としている。
かくいう俺も、チカさんに覆い被さるような感じで四つん這いになったまま。
どうにか言葉は返したが、今一思考が働いていなかった。


「ほんとにすみませんでした。」

「・・・いえ、もういいですよ」

もう一度謝って、その男たちはそそくさとその場を去った。


俺はいいんだ。 俺は、ね。 でも・・・

チラリと真正面のチカさんを窺うと、放心状態だった顔が、みるみる内に般若の形相に変わっていった。
恐ろしすぎて声を掛けることもできず、目を合わせることもできず、思わず視線を下げたのだけれど・・・





いきなりガバっと抱きついた俺に、チカさんの怒声が飛んだ。





(続く)
すみませーん、1話増えましたぁぁ
しかも超ベタな展開ですぅぅーーー





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