『酔いつぶれて介抱中』 03 : 【side-清里】
甘くしようとしたのにどういうわけかキヨが可哀想なだけの話になった・・・
もしかして、俺が出て行ってからずっとここに居たんだろうか?
訊いても素直にそうとは言わないだろうが、・・・・・・多分、居たんだろうな。
「ごめん」
「理由もわかってねえクセに謝るな。ムカツク」
「でも確実に俺が悪いのはわかってるんで。 ごめん」
「・・・もー、いー」
俺の誠意が伝わった・・・のではなくて単に説明を投げただけなのは、顰めたままの表情とこれ見よがしに吐かれたデカい溜息でわかる。 しかし、その後の行動はかなり意外なもので。 智也は、裸足のまま三和土に下り、突っ立っていた俺にしがみ付いてきた。
昼間はもう暖かい季節になったとは言え、夜間や朝方はまだ肌寒い。一晩中俺に付き合って床の上に寝ていたその後、陽の光の入らない玄関に長時間座っていれば身体も冷えるワケで。 背中に廻された腕も、首筋に押し付けられた頬も、当たり前だがひんやりと冷たかった。
「キヨ・・・」
「ん?」
「きよさと・・・」
「なに?」
何かを確認するように繰り返し俺の名を呼んで、俺が応える度に智也の身体から力が抜けていく。
朝の対応もそうだが、今のこの様子も明らかにオカシイ。 智也らしくない。
「智?」
「お前 呼んでも応えなくて・・・」
「デカい声で何度も呼んだし・・・、強く揺すったりもしたのに、 お前全然応えねえから
ヤバいことになってんじゃねえかって 俺、スゲー恐くなって・・・」
その時の状況を思い出して不安が蘇ったのか、一度抜いていた腕の力をまた籠めた。
安心させるように強く抱き締め返すと、俺の首筋に顔を埋めたまま消え入りそうな声でポツリと言った。
「ああいうのは・・・ 嫌だ」
ガツン、と頭をぶん殴られたような感じ・・・? やっと目が覚めたというか。
いつもと様子が違うのは最初から気付いていたのに、ここまでハッキリ言われる前に、理由に辿り着けなかった自分に呆れる。 胸がぎゅっと締め付けられて、碌な言葉もかけてやれないのも情けない。
それより何より、申し訳ないと心から思っている一方で、自分がどれだけ強く想われているのか確認できたことが嬉しいとか感じているのがもう最高に馬鹿だ。
「心配、したんだ?」
「・・・ん」
「独り寝がそんなに嫌だったんかなぁー・・・とか、俺に付き合って床で寝たのがキツかったんかなぁとか・・・
んなアホな理由しか考えつかなかった・・・」
「だからムカツクって言ったんだよ・・・」
「ん、俺すげー馬鹿」
智也の後ろ髪を梳きながら、申し訳なさ、愛しさ、くすぐったさ諸々、身体の底から湧き上がってくるもの全てを込めたキスを繰り返し与える。 俺に身体を預けて大人しくキスを受けている智也の顔も、間違いなく自分の顔も、二人を包む空気もこの上なく甘ったるい。 それで酔えそうなくらいに。
今思えば・・・、 そのまま黙って酔ってりゃよかったんだが・・・・・・
「あー・・・なんか、馬鹿ついでに(?)メチャメチャ歌いたい気分なんですけど」
「あ゛あ゛!?」
「・・・じゃねえや、智に歌って貰わないと意味がねえんだな、あれは。
ほら、俺らの親世代が若い頃に流行った歌でぇ、今だったら確実に女から苦情が来そうな歌詞の・・・」
※約30年くらい前に流行った ”さだ○さし” の 『関○宣言』 のことらしい (キヨ、古ッ)
「てめ・・・、空気読解能力皆無か!? 俺が今呑気に歌なんか歌える気分だと思ってんのか!?
しかもそんな古くて危ねえ歌を?? マジで追い出す、っつーか家出すんぞ!?」
「ん、でも今の気分にピッタリな感じだし。
えーと確か、1日でもいいから俺より先に逝くな・・・みたいなフレーズが ──・・・ 」
ガキの頃よく遊んでくれた近所のオヤジがほぼエンドレスで口遊んでいたその ”俺様” な歌をフルコーラスで歌ってやろうかと思ったが、智也が口をぽっかり開けたままフリーズしていたので止めた。
そりゃ、コイツにしてみりゃ 『何十年も先のことなんかわかるか』 って感じだろうよ。 付き合って間もない女に 『ずーっと一緒にいようね♥ 』 的なことを言われるのと同じぐらいのウザさだろうよ。
わかってるけどさ・・・・・・
俺は割と本音で言ったワケですよ。 死ぬまで今と変わらずコイツを想っていられる自信も覚悟もあるワケですから。 俺はね。
なのに、デッカい目を更に見開いて俺の顔を凝視しながら智也が放った一言は、
「重ッ!!」
ですよ・・・。 ああ、ついでに 『恐ッ!』 とも言ってましたよ・・・。
コイツの愛情を本気で疑いたくなる時がごくたまーーにあるが、今のが正にそれ。
せめて冗談ぽくとか揶揄うように言ってくれれば笑って遣り過ごせるものを、素で、しかも悪びれもせず言ってくれちゃうからこっちはマジでヘコむ。 口の悪さは日頃で慣れてるつもりだけど、さすがに、な・・・。
つーか、さっきはコイツが、俺がヤバい状態になったんじゃないかって心配で堪らなかった〜みたいな超絶カワイイこと言ってたんじゃなかったっけ!? 何故そのモードを少しの間維持していられない!?
それは俺の高望みか?? それをコイツに求めるのが無謀か、間違いか??? (だろうね〜・・・)
腰に廻っていた智也の腕を徐に引き剥がし、無言で玄関のドアに手を掛けた。
「あ、ウっソ、冗談! 勿論じじいになっても一緒に居るつもりですって!
そうそう、1日でも2日でも俺より長く生きて下さい〜・・・って、おい、キヨー、ごめんってば!!」
我に返ったらしい智也が珍しく慌てた声を出していたけど無視。 咄嗟に掴まれた腕に視線も向けず、冷たく振り払ってその場を後にした。
俺も悪かったとは思うけどさ・・・・・・
『失意の家出』 ───・・・ なんてものをしたのは、生まれて初めてのことであった。
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もしかして、俺が出て行ってからずっとここに居たんだろうか?
訊いても素直にそうとは言わないだろうが、・・・・・・多分、居たんだろうな。
「ごめん」
「理由もわかってねえクセに謝るな。ムカツク」
「でも確実に俺が悪いのはわかってるんで。 ごめん」
「・・・もー、いー」
俺の誠意が伝わった・・・のではなくて単に説明を投げただけなのは、顰めたままの表情とこれ見よがしに吐かれたデカい溜息でわかる。 しかし、その後の行動はかなり意外なもので。 智也は、裸足のまま三和土に下り、突っ立っていた俺にしがみ付いてきた。
昼間はもう暖かい季節になったとは言え、夜間や朝方はまだ肌寒い。一晩中俺に付き合って床の上に寝ていたその後、陽の光の入らない玄関に長時間座っていれば身体も冷えるワケで。 背中に廻された腕も、首筋に押し付けられた頬も、当たり前だがひんやりと冷たかった。
「キヨ・・・」
「ん?」
「きよさと・・・」
「なに?」
何かを確認するように繰り返し俺の名を呼んで、俺が応える度に智也の身体から力が抜けていく。
朝の対応もそうだが、今のこの様子も明らかにオカシイ。 智也らしくない。
「智?」
「お前 呼んでも応えなくて・・・」
「デカい声で何度も呼んだし・・・、強く揺すったりもしたのに、 お前全然応えねえから
ヤバいことになってんじゃねえかって 俺、スゲー恐くなって・・・」
その時の状況を思い出して不安が蘇ったのか、一度抜いていた腕の力をまた籠めた。
安心させるように強く抱き締め返すと、俺の首筋に顔を埋めたまま消え入りそうな声でポツリと言った。
「ああいうのは・・・ 嫌だ」
ガツン、と頭をぶん殴られたような感じ・・・? やっと目が覚めたというか。
いつもと様子が違うのは最初から気付いていたのに、ここまでハッキリ言われる前に、理由に辿り着けなかった自分に呆れる。 胸がぎゅっと締め付けられて、碌な言葉もかけてやれないのも情けない。
それより何より、申し訳ないと心から思っている一方で、自分がどれだけ強く想われているのか確認できたことが嬉しいとか感じているのがもう最高に馬鹿だ。
「心配、したんだ?」
「・・・ん」
「独り寝がそんなに嫌だったんかなぁー・・・とか、俺に付き合って床で寝たのがキツかったんかなぁとか・・・
んなアホな理由しか考えつかなかった・・・」
「だからムカツクって言ったんだよ・・・」
「ん、俺すげー馬鹿」
智也の後ろ髪を梳きながら、申し訳なさ、愛しさ、くすぐったさ諸々、身体の底から湧き上がってくるもの全てを込めたキスを繰り返し与える。 俺に身体を預けて大人しくキスを受けている智也の顔も、間違いなく自分の顔も、二人を包む空気もこの上なく甘ったるい。 それで酔えそうなくらいに。
今思えば・・・、 そのまま黙って酔ってりゃよかったんだが・・・・・・
「あー・・・なんか、馬鹿ついでに(?)メチャメチャ歌いたい気分なんですけど」
「あ゛あ゛!?」
「・・・じゃねえや、智に歌って貰わないと意味がねえんだな、あれは。
ほら、俺らの親世代が若い頃に流行った歌でぇ、今だったら確実に女から苦情が来そうな歌詞の・・・」
※約30年くらい前に流行った ”さだ○さし” の 『関○宣言』 のことらしい (キヨ、古ッ)
「てめ・・・、空気読解能力皆無か!? 俺が今呑気に歌なんか歌える気分だと思ってんのか!?
しかもそんな古くて危ねえ歌を?? マジで追い出す、っつーか家出すんぞ!?」
「ん、でも今の気分にピッタリな感じだし。
えーと確か、1日でもいいから俺より先に逝くな・・・みたいなフレーズが ──・・・ 」
ガキの頃よく遊んでくれた近所のオヤジがほぼエンドレスで口遊んでいたその ”俺様” な歌をフルコーラスで歌ってやろうかと思ったが、智也が口をぽっかり開けたままフリーズしていたので止めた。
そりゃ、コイツにしてみりゃ 『何十年も先のことなんかわかるか』 って感じだろうよ。 付き合って間もない女に 『ずーっと一緒にいようね♥ 』 的なことを言われるのと同じぐらいのウザさだろうよ。
わかってるけどさ・・・・・・
俺は割と本音で言ったワケですよ。 死ぬまで今と変わらずコイツを想っていられる自信も覚悟もあるワケですから。 俺はね。
なのに、デッカい目を更に見開いて俺の顔を凝視しながら智也が放った一言は、
「重ッ!!」
ですよ・・・。 ああ、ついでに 『恐ッ!』 とも言ってましたよ・・・。
コイツの愛情を本気で疑いたくなる時がごくたまーーにあるが、今のが正にそれ。
せめて冗談ぽくとか揶揄うように言ってくれれば笑って遣り過ごせるものを、素で、しかも悪びれもせず言ってくれちゃうからこっちはマジでヘコむ。 口の悪さは日頃で慣れてるつもりだけど、さすがに、な・・・。
つーか、さっきはコイツが、俺がヤバい状態になったんじゃないかって心配で堪らなかった〜みたいな超絶カワイイこと言ってたんじゃなかったっけ!? 何故そのモードを少しの間維持していられない!?
それは俺の高望みか?? それをコイツに求めるのが無謀か、間違いか??? (だろうね〜・・・)
腰に廻っていた智也の腕を徐に引き剥がし、無言で玄関のドアに手を掛けた。
「あ、ウっソ、冗談! 勿論じじいになっても一緒に居るつもりですって!
そうそう、1日でも2日でも俺より長く生きて下さい〜・・・って、おい、キヨー、ごめんってば!!」
我に返ったらしい智也が珍しく慌てた声を出していたけど無視。 咄嗟に掴まれた腕に視線も向けず、冷たく振り払ってその場を後にした。
俺も悪かったとは思うけどさ・・・・・・
『失意の家出』 ───・・・ なんてものをしたのは、生まれて初めてのことであった。
+++ end +++
【副題:キヨ、初めての家出】
で、家出から戻ったキヨに智が玄関で関○宣言を熱唱(?)してあげたよ、ってオチ。
(潤に大笑いされると良い)
毎度お題とかけ離れた〆になるのはご愛嬌〜♪ ^∀^;
【副題:キヨ、初めての家出】
で、家出から戻ったキヨに智が玄関で関○宣言を熱唱(?)してあげたよ、ってオチ。
(潤に大笑いされると良い)
毎度お題とかけ離れた〆になるのはご愛嬌〜♪ ^∀^;
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