閑話 : 【side-智也】

※これは 『Players』 本編から見て未来、『TrappedInToyLand』 から見て過去というわかり辛ーい頃のお話。


聖なるクリスマス・前夜(正確には前夕)。
不貞腐れ顔で話す潤を前に、清里が腹を抱えて大笑いしていた。

潤は和さんと会えない寂し〜いイブを、俺と清里に愚痴って過ごそうという何とも傍迷惑な魂胆でいるらしい。 ま、俺も清里もイブやクリスマスに特別な予定が入ってるわけじゃないからいいけど。


「今日例の動物園に行ったらしいんだけどさ・・・、さっき送られてきたのがペンギンのアップだよ。
 ペンギンと和さんの2ショット(?)ならまだしも、ペンギンのみだぞ!? 泣くよ、もう。」
「で? なんて返したの?」
「何ってお前・・・、『カワイイね』 ぐらいしか返せねえだろ。」

ペンギン・ソロのアップがツボに嵌ったらしく、清里は咳き込みながら笑っている。 ここまで笑い転げる清里も珍しいが、それもわからないではない。 だってさ、普通自分のことを好きな人間にペンギンのみの写真を送りつけるか??それもクリスマスイブに。 ほんとに、聞けば聞く程和さんらしいというか・・・。
12月に入ってからの出来事も粗方潤から聞いたのだが、それもかなりウケる。 確かに潤は(俺らもだが)受験生だけど、”出禁”って! 和さん家に行かなくたってこうやってココに来て暇潰してるんだからイミねえよな〜。 そしてイブにペンギンだ。 笑えない要素はない。

「すっげーイイ。和さん最高。素でやってるってトコがもう堪んない。」
「こっちの身にもなってみろ、アホタレ。」
「ていうかさあ、和さんて、ほんとに天然なん? 上手く誤魔化してるとかじゃなくて?」
「和さんはそういう人じゃねえよ!」
「いや、まあそれはわかるけど・・・ でもなあ。 お前が・・・お前が、頬にキスで・・・」

それきり、笑いで話せなくなってしまったようだった。
そうそう、言い忘れていたがペンギンの前にもう一つ笑い話(?)がある。 昨日(23日)北海道に出発する和さんを潤は内緒で学校をサボって見送りに行ったらしいのだが、『見送りありがとう』 どころか、羽田空港で激怒されたそうだ。 終業式の前日なんてサボったところで支障はないのになあ、と思う俺らはダメ学生か?・・・ってそんなワケはねえよな? で、叱られて不貞腐れた潤に和さんがしたことが ”頬にキス” だ。 和さんにしてみればスゴイことなのかもしれないが、頬って、・・・なあ。 それで宥められた潤も潤だけど。 てゆーか、相当手が早かった(とキヨから聞いている)潤に年単位でお預け喰らわしてるトコがそもそもすごいよな。 実は大物なんだろうか、あのヒト??

「俺は純情路線に慣れてねえんだよ。」
「”じゅん”なのに?」
「”潤う”の方ですから。”純情”の方じゃありませんから。」
「酷なツッコミをするなよ、智。 コイツは”純粋・純情”から一番遠いトコに居るヤツだぞ?」
「お前にだけは言われたくねえよ、清里! ったく、他人の不幸を思いっきり笑い飛ばしてんじゃねえ。
 そんなんだからテメェはロクなクリスマス送れないんだよ。」
「うるせえ。」

イタいところでも突かれたのか、若干怯んで視線を逸らした清里に対して潤の顔が途端に人の悪いものに変わった。俄かに形勢逆転の模様。 お互いにかなり際どくて笑えないツッコミをし合うから、コイツらって本当に仲がいいのかと疑いたくなる時がたまにある。

「智、去年のクリスマスはどうだった?」
「どうだった・・・って、確か俺が風邪で寝込んでたような・・・」
「へぇ、じゃあちゃんとクリスマスを二人で過ごすのは今年が最初か。
 そのわりにコイツ、クリスマスが近くなってきたら露骨にテンション下がっただろ?」
「そう言われてみればそうかも・・・」

清里はイベント大好き男ではないが、イチャつきのネタにはちゃんと喰い付いてくるヤツだ。クリスマスなんて格好のネタのはずだが、確かに最近ちょっと機嫌が悪い。

「おい潤、余計なこと言うな。」
「余計なことって何?」
「別に・・・」
「あら〜、やっぱり智ちゃんは何にも聞かされてないの? じゃあ俺が教えてあげようかなぁ?」
「いい加減にしろよ、潤。」
「なんだよ、教えろよ。隠されてると気分悪い。」

「コイツ、中2ん時女に刺されたの知ってる?」  (『異星人』 参照願います ^ ^;)
「それは前に聞いた。」
「それ以来タメ年受け付けなくて年上専になったのも聞いた?」
「聞いた。」

制止は諦めたのか、清里は顰め面で横を向いていた。

「トラウマがたくさんあって大変だな〜、キヨは。 あ、でも年上もダメにならなくて良かったね♪」
「るせー」
「勿体ぶらずに話せよ、潤。 何!?」

「一昨年コイツ、トリプルブッキングやらかしやがってさ。」
「は・・・?」

「イブにホテルのラウンジで着飾ったおネェサマ3人が取っ組み合いの喧嘩。」

「取っ組み合いまではいってない。掴みかかりそうになっただけだ。」
「大して変わんねえじゃん・・・。 つーか、お前ほんとにサイテーだな・・・
 どんだけボケたら”トリプル”なんて危機的状況に陥れるワケ?」
「予定を訊かれたのがたまたま3人同じ日で、ちょうど潤と飲んでて、かなり酔っ払ってたんだよ・・・」

「3人それぞれに同じホテル指定して予約させてな。 イルミネーションがすげーからとか言っちゃって。
 待ち合わせの時間と場所までお揃い♥ ほ〜んとアホ。
 で、約束したことは覚えてたんだけど”誰と”までは覚えてねえの、コイツ。 いや〜、マジでアホ♪」

「お前あん時俺の隣で電話の会話聞いてただろ? なんで止めねえんだよ!」
「俺の所為にすんなよ。 そんな楽しそうなこと、俺が止めるワケないじゃん。」
「てか、なんで潤は現場の状況詳細まで知ってんの?」

「ははは、俺その日近くでイルミネーション見てたんだよ。 勿論わかってて行ったんだけど。
 キヨの方がオモシロそうだからホテルのラウンジまで見学に行った。」

「「趣味悪ッ!!」」

俺と清里が同時に叫んだ。
その後も清里と潤は下らないことで言い合っていたが、俺からすればどっちもどっちで。

「お前ら二人ともサイテーだよ。」

シミジミ言ってやったら、今度は清里と潤が同時に渋い顔をして溜息を吐いた。 結局コイツらも似た者同士の仲良しなワケで。

一昨年と言えば俺と知り合う前だから文句を言う筋合いはないけど・・・、相当遊んでたって噂は本当だったんだなあとちょっと呆れる。 俺も大概サイテーなことを女にしてきた自覚はあるが、清里には負けるわ。マジで。 中2で女に刺されて高1でヒモの出来損ないみたいなことやって、行き着いた先が男(俺?)かよ。 スゲーな、キヨ。





「さすがにイブじゃ予約は取れないよな。」

潤が帰った後、渋面を貼り付けてソファーに身体を沈めていた清里に意地悪く言うと、更にまた嫌そうな顔をして俺を見た。

「・・・何の?」
「ホテル。 イルミネーションが凄いとこ。」
「性格悪いぞ、お前・・・」
「自業自得じゃね? てか、俺、お洒落なホテルで豪華なクリスマスって過ごしたことないなあ〜」
「・・・過ごしたいのか?」
「一度くらいはね〜〜♪」
「・・・・・・・・・・・・。」

「うそうそ。 俺、イベント重視しねえし。面倒くせーの嫌いだし。
 それよりもさ、お前、他にトラウマはないか?? 今のうちに隠さず言っとけよ〜?」

「もうねえよ・・・」

ニヤニヤと楽しそうな俺とは対照的に、清里はクリスマスには凡そ相応しくなくローテンションだった。


ま、今年からは俺と一緒の穏やか〜なクリスマスを過ごすんだし。
クリスマスに限らず、これから先の全てのイベントにもお前のトラウマになるようなハプニングなんて二度と起きないし。

・・・って言ってやればいいんだろうけど、調子に乗られると困るので止めた。
ま、言わなくてもきっと数年すれば気付くだろ。










+++ end +++
・・・なんて思ってた智也でしたが。





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