続・味見してみる? 10
シリアスな顔して 『必ず来て』 なんて言われたら ───・・・
なんか深い意味が含まれてるのかな〜・・・とか性懲りもなく考えてしまうのは普通だろ?
まあ今までの経緯から、『やっぱり純粋にお祝いでした♪』 なんてオチもあるって覚悟もしてたけどさ。
どっちにしたって俺には ”部屋に行かない” という選択肢は無いに等しい。ってことで当然行きましたよ、部屋に。 心臓壊れるんじゃないかってくらいの緊張と不安を身に纏って。
玄関で出迎えてくれた八神さんの顔は通常通り、数時間前とは違う柔らかな表情だった。 ああ、俺はまた勘違いをしたのか・・・とちょっとヘコみ・・・
そこでいつものバスローブを手渡されて風呂場直行の指令が下り、 ちょ・・・、いきなり風呂ってどうゆうことっ!?って動揺し・・・
快適なはずのバスタイムを全く堪能できずにガチガチになって俺は風呂から出てきた。
そして、リビングの扉を開けて目に飛び込んできた光景に唖然。
「ほんとにお祝いっぽい・・・・・・」
「だからそう言ったじゃない。」
リビングの大きなローテーブルの中央にシャンパン・クーラーが置かれ、その周りにそれはそれは彩り豊かで盛り付けも美しい ”料理” が並べられていた。
「迎えに来ないって・・・、これ準備してくれてたから?」
「前菜みたいなものしか準備できなくてゴメン。
もうちょっと豪華にしたかったんだけどさー、寝る前だし、あんまりヘビーなのは良くないかなと思って。」
「全然前菜のレベルじゃないっすよ、コレ・・・」
料理の名前なんて俺は知らないけど、ムースみたいなのが何層にもなってるヤツ (テリーヌのことだと思われる) とか、白い魚の焼いたヤツ (何かの白身魚のムニエルらしい) とかは、よくグルメ雑誌に載ってる料理だ。 ホカホカと湯気が上がってるペンネのバジル和え (これは辛うじて知っていたらしい) なんて超美味そう。 マリネの上に乗ってるハム (生ハムって言え!) 俺スゲー好きなんだよね! それだけで、単純な俺のテンションは今自分が置かれている状況と鬱屈を忘れて跳ね上がる。
そして、シャンパン・クーラーに入れられているボトルを見てまた魂消てしまった。
「『Don Perignon』 ・・・・・・ って、ドンペリ??」
「ロゼだけどね〜。」
「メチャクチャ高いんでしょ、コレ!? てか、こんなのくれるって、どんな知人だよ・・・」
「俺に惚れてるんだ、そのヒト。」
う゛・・・ なに爽やかにサラっとヒドイこと言ってくれてるの、このヒト・・・
「っていうのは冗談でただの知人だけど、そんなに高くないよコレ。」
「さっ、さんじゅうまんぐらいするって聞いたことある・・・」
「おいおい、それどこの話だよ。」
「ホストクラブ」
「行ったことあるの?ホストクラブ」
「ううん、ない。 テレビで見ただけ。」
肩を竦める俺を見て、八神さんが勢いよく噴き出した。
「ヴィンテージついてるワケじゃないし、普通に買っても3〜4万だってば。」
「それでも高いよ・・・」
「俺としてはラベイぐらいは欲しかったな〜」
「・・・・・・それいくら?」
「最近ので20万前後。」
「飲めねえ、そんなのっっ!!」
思わず叫んでしまった・・・。
片手で顔を覆い、もう片方の腕で腹を抱えながら肩が揺れるのを必死で抑えているが、彼の笑いは全く収まらない。 しょうがねえじゃん、ドンペリなんて普段飲まねえもん!!
「じゃあ、こんなありがたーい酒を飲める機会なんてこの先絶対ないと思うんで、
遠慮なく堪能させて頂きます!」
既に笑いを堪えるのも隠すのも諦めたのか、涙を浮かべんばかりに爆笑しているのが面白くなくて、半ば不貞腐れ、半ば開き直って宣言してみたわけだけど。 『ここに来るのも最後だし』 ・・・と小声で付け加えた言葉を八神さんが耳聡く拾い、忽ち真顔になった。
「・・・最後、ねぇ?」
「あ、いえ・・・」
「やっぱり切るつもりだったんだ?」
「あー・・・」
「君って、ほんと淡白っていうかドライっていうか・・・」
呆れたような顔をされてムッとする。
「普通ですよっ!」
「いや違うね。」
「だって生活時間が合わなくなるんだから会えなくなるでしょ!?」
「休みの日に会うとか時間が有ったら会うとかそういう発想はないの、君は?」
「今まで休みの日に会ったことないじゃないですか!」
「休みの日にまで俺の顔見たくないと思って誘わなかったんだよ。」
「じっ、時間が有ったって連絡のしようがないじゃん、携番もメアドも知らないんだからっ・・・」
「訊けばいいだろう?」
「俺から訊けねえよっ!」
「あのねえ、俺の方こそ訊けないんだよ。わかんない?」
わかるかっ!!
いや、でも待てよ・・・ あれ? この会話の流れって・・・あれ??
もしかしてこのヒト、まだ俺と会うつもりでいてくれてたのか??なんて僅かな期待がまた膨らみかけたのに・・・・・・
「ま、いいや。 飲もう。」
って、だからどうしてそこでまた逸らかす!?
八神さんの言動は俺には全く理解不能だった。
(続く)
いや、お前がボケすぎなんだよ、小杉・・・
スミマセン、長くなりそうだったんでここで一旦切ります。
次こそ、次こそ動く!・・・小杉が (は?)
いや、お前がボケすぎなんだよ、小杉・・・
スミマセン、長くなりそうだったんでここで一旦切ります。
次こそ、次こそ動く!・・・小杉が (は?)
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