味見番外 03
『ポスト・セイイチ』 と言ったダリオさんはある意味正しかった。
あの時名前が挙がった ”サトシ” という男性、八神さんの大学の後輩だという北条聡史さんを目の前にして、俺は言葉を失った。
八神さんとこの人が大学時代にどんなことをしていたかなんて俺は知らないし、八神さんの後を継げる、というのが厳密にどういうことなのか俺にはわからないけれど・・・
縁起でもない言い方をすれば、もし八神さんがこの世から居なくなったとしても、見目形の部分ではこの人が彼の代わりを務められそうなほど ───・・・
似ている、 のだ。
雰囲気や背格好がなんとなく、なんて生易しいものではない。 もう、ぶっちゃけ、顔が・・・そっくり。
芸能界ならいざ知らず、一般人で八神さんクラスの男前は早々いないと思っていたらここに居た。
「きょ・・うだい?」
言われ慣れているのか、些かの驚きも見せずに北条さんがふわりと笑った。
うわー、笑い方までソックリだわ・・・
「そういう時もあったね、確かに。」 (おいおい)
「・・・は?」
「聡史!」
横から八神さんの厳しい声が飛ぶ。 北条さんが部屋に来てから、八神さんは絶好調に (?) 不機嫌だ。
そしてその不機嫌さを明らさまに口に出す。
「ったく、なんでウチにまで来るんだ、お前が。」
「先輩が連絡くれたんでしょうに。」
「ウチに呼ぶつもりで連絡したんじゃない。 お前の所の販促に入っているSEの件で連絡したんだ。
不満があるなら販促の部長かその上の統括に直接話をしろと言っただろう?」
「ちょっと待って下さいよ、不満があるなんて言ってませんって。
それに俺もその話をしに来たんじゃないし。
前野先輩に色々聞いて、自分の目で確認したくなっただけだから。」
「前野のヤツ・・・ 余計なことを・・・」
舌打ち込みで忌々し気に顔を顰める。 露骨だよなぁ・・・。 八神さんは本当に昔からの友人に容赦ない。
しかし、北条さんは八神さんの不機嫌さを全く気にしている様子はない。 ちょっと暗かったってこの前ダリオさんは言ってたけど、今は暗さなど微塵も窺えず、寧ろ楽しそう。 ニコニコと人好きしそうな笑顔を浮かべてサラリと前髪を掻き上げた。 それがまた・・・八神さんの仕草にソックリで・・・。
「そんなに似てる?」
見惚れてしまっていたのに気付かれて (結構凝視しちゃってたから当たり前かも)、バツが悪くなった。
「はい・・・ ビックリするくらい」
「はは。 じゃあさ、もし俺と八神先輩、二人とも小杉君と初対面だったとしたら、君はどっちに目が行く?」
どっちって、そりゃ ───・・・
「八神さん」
「初対面でも?」
「八神さん」
即答&断言の俺に、北条さんが噴き出した。
「やっぱり勝てないねぇ、八神先輩には。」
「当たり前だ、馬鹿者。」
別にご機嫌を取ろうとしたワケじゃないんだけど。 八神さんが嬉しそうに笑っていたから・・・まあいい。
(続く) 短ッ
北条と八神は似てるらしい。
ま、さっき決めたんですけど。
北条と八神は似てるらしい。
ま、さっき決めたんですけど。
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